Presidential hopeful 2016 5 5
エスタブリッシュメント(the Establishment、支配者層)への批判を繰り広げた、
トランプ氏が、共和党の大統領候補になる見込みとなりました。
これは、「GOP」、つまり「Grand Old Party」(共和党)にとっては衝撃となるでしょう。
そもそも、共和党そのものが、「the Establishment」の集まりとも言えるからです。
考えてみれば、数年前に起こった「茶会派」の躍進も、
「the Establishment」への批判が原動力のひとつと言えるかもしれません。
「茶会派」の躍進やトランプ氏の台頭が、共和党を解体してしまうのか、
それとも、好意的に見れば、時代に合わせて「変化できる共和党」と見るべきなのか。
さて、今のところ、大統領選挙では、
クリントン前国務長官が有利であるという報道が多いですが、
アメリカ国民が、クリントン前国務長官を「古い政治」の象徴と見なせば、
トランプ氏の圧勝となるかもしれません。
逆に、アメリカ国民が、急激な変化を望まないならば、
クリントン前国務長官が勝利を得ることになるでしょう。
耳標 ear mark earmarks 2009 4 26
アメリカの金権政治を知る上で、
「イヤマーク」は重要なキーワードになりますが、
それに該当する日本語がありません。
直訳すれば、「耳標」となります。
強いて日本語に当てはめれば、
「利益誘導」、「バラマキ」、「つかみ金」という言葉を
合成したような意味になるでしょう。
アメリカは超大国ですので、何事もスケールが大きく、
「利益誘導」のスケールも日本の比ではありません。
日本のメディアは、日本の政治を金権政治と批判しますが、
アメリカの金権政治に比べたら、小さなものです。
日本の政治家は、こそこそと、ちまちまと金権政治をやっているだけです。
(もちろん、こんなことは自慢にはなりません)
軽部謙介氏は、著書の中で、こう書いています。
「オバマでも変えがたいもの。
それは、アメリカ政界に、はびこる金権体質だ。
カネの亡者と化したロビイスト。
資金集めに血眼の政治家。
利益追求が第一の献金者。
ワシントンでは、カネこそが、ものを言う」
こうした現状に対して、
アメリカの有識者は、「お金で買えるアメリカの民主主義」と嘆いています。
「我々の民主主義は、お金で買うことができる」と。
書名 アメリカの金権政治
著者 軽部 謙介 岩波新書
(注1)
もちろん、私は、イヤマークが全面的に悪いとは考えていません。
要するに、極論すれば、
予算(税金)の配分を誰がやるかということに行き着くと思います。
それを官僚がやるのか、あるいは議員がやるのか。
官僚がやれば硬直的なものとなり、議員がやれば利益誘導となります。
(注2)
こうしたイヤマークは、連邦議会だけでなく、地方議会にもあります。
(注3)
日本の政治家は、真似しないでください。
日本人は、何でもアメリカの制度を真似しようとしますが、
悪いことまで真似をする必要はありません。